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ドリームワークス日本人クリエイター座談会取材レポート
ドリームワークスのヒットアニメ・シリーズを生み出してきたハリウッドを代表するアニメーション・スタジオ、PDI(Pacific Data Imagesの略)のスタッフとして働く、6人の日本人クリエイターに話を伺いました。 PDIで働くまでのいきさつや、ハリウッドのトップ・アニメーション・スタジオで働くことの醍醐味、環境の素晴らしさなどをレポートします。
●参加していただいた日本人クリエイターの皆さん
アニメーター:星まり子さん、原島朋幸さん
エフェクト:大塚俊泰さん、ライティング/コンポジット・アーティスト:奥村裕子さん
CGスーパーバイザー:中谷学さん、サーフェシェング・アーティスト:山本原太郎さん
<むかって右から、星まり子さん、大塚俊泰さん、奥村裕子さん、中谷学さん、山本原太郎さん、原島朋幸さん>Q: 『マダガスカル3』では何を担当されましたか?
星さん:主役キャラ4体のサーカスのシーン、モナコのカーチェイスシーンのアニメ―ションを主に担当しました。
大塚さん:エフェクトなので、「土煙」、「水しぶき」などの効果です。 サーカスのシーンで象が鼻から火を吹くシーンの火の効果も担当しました。3Dということより、アニメーションをたてなければいけないので苦労しました。
奥村さん:照明と合成の最後の仕上げの段階を担当しました。主にモンテカルロのカーチェイスシーンの背景です。照明をつけて最後のエレメントをいれて仕上げとなります。
中谷さん:照明のスーパーバイザーです。多いときは14人のチームを持って ビルのルーフトップ(モナコのカーチェイスのシーン)、アルプスの山の中、動物園のサーカスのシーン、ローマ電車の逃げるシーンなどは、初期のビジュアルデベロップメントから携わり2年くらい関わっています。
山本さん:サーフェシング部(サーフェシング=表面の意味)というのがあり、映画に出てくるすべてのものに色をつけ、キャラクターの髪の毛や毛並などのセットアップをする仕事です。新キャラクターのジア、アルプスの背景の草、クライマックスのシーンのサーカス群衆も担当しました。1人1人のキャラクター用のパターンを20〜30ぐらい作り、コンピューターでセットアップします。
原島さん:メインでビターリ、ソーニャ(熊)、キングジュリアンのアニメーションを多く担当しました。 キングジュリアンが恋に落ちる黒目が大きくなるところ、ビターリがグッドサーカスでバトンを地面にさしてまわすシーン、キングジュリアンがバイクを盗んでショップから出てくるシーン、最後のサーカスのシーンで、ビターリが投げた剣をフリップして逃げるシーンなども担当しました。
Q: なぜ今のお仕事を選んだのか、どのようにしてドリームワークスで働くようになったのか簡単に教えていただけますか?
星さん:TVの漫画で育ったので、小さいときは漫画家になりたかったのですが、インテリアデザインで動かない物をデザインしていて、やっぱり動いている物が好きだと気付きました。キレイな色、キャラクター、立体、動画……、自分の好きな物が全て入っているCGを初めて見た時に、「これだ!」と思いました。
大塚さん:中学、高校の頃から映画が好きで、年間100本くらい観ていました。 当時だと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『インディ・ジョーンズ』、『ターミネーター』のようなエフェクトをたくさん使った映画が好きでした。いずれはハリウッドに来てそういった仕事に携わりたいと思っていました。高校卒業後アメリカで映画の勉強をするうちにCGでエフェクトを作ることに興味が出てきて、別の専門の学校で勉強しました。 しばらくは実写エフェクトを担当していましたが、6年前にドリームワークスに来て今はアニメーションのエフェクトを担当しています。
原島さん:大学は物理系の大学を出て、エンジニアとして会社で働いていました。 『ジュラシック・パーク』のビジュアルエフェクトを見て 映画の業界に関わりたいと思うようになりました。CGなら自分の理系のスキルを活かして映画の業界に入れるのかな、と思いました。そこでサラリーマンを辞めて日本でCGの学校に入学し、1年間自分の作品をつくるうちに、実は自分が本当に好きなのはビジュアルエフェクトではなくて、アニメーションでキャラクターを動かすことだと気づきました。アニメーションをやるならアメリカ、ということでまずは語学留学、美大、インターンを経てドリームワークスに入社しました。
Q: 最高の環境でみなさん自分の夢を叶えてお仕事をされているわけですけれども、ドリームワークスで働く魅力ややりがいとは何ですか?
星さん:自分が手掛けたシーンが観客にウケている様子を見ると「私がやったショットよ!」って思ったりします(笑)海外旅行中の時など、遠い国の知らない人でも、「『シュレック』のアニメーションをやった」と言うと「うちの子供が大ファン」と笑顔になってくれるのがとても嬉しいです。それとDVDという形で出るので、いつまで経っても自分が手掛けたものが残るというのも魅力ですね。
奥村さん:『マダガスカル』は特に認知度が高く、周りの友人、知人も見に行ってくれました。「他のアニメーションと『マダガスカル』は違う。」という感想が嬉しかったです。
中谷さん:子どもがいるのですが、子どもにわかりやすい仕事であることです。DVDで自分たちの作品が残るのも嬉しいです。
山本さん:日本だと日本人だけの常識の中で生きているけれど、世界中から優秀な才能が集まってきて、それぞれお国柄も見ることができますね。フランス人はすごく美術センスに優れていて、絵がすごく上手。ロシアの人はテクニカルがすごい。優秀な人が集まっている中で、グーンと無理やり自分が引っ張り上げられている感じがしますね。緊張感もあって引き締まります。また、納品も1週間後とかではなくて、とことんこだわった仕事をさせてくれるところも魅力です。1つの作品を2〜3年かけて作るので、そのあとのやりきった感もCMとは違います。
日本人クリエイターの皆さんが関わったシーンも踏まえてみると、より楽しめる!
『マダガスカル3』、ぜひご覧ください!
公式サイトはこちら
http://dvd.paramount.jp/madagascar3/